ライヴ空間ならではの闊達さは好ましいが、
「異化」を狙った無機質な機械音の音楽的効果はどうか?
マシュー・シップ“Nu Bop”のライヴ盤という情報しか無い状態でアルバムを聴いてみる。1曲目からライヴらしい切迫感が伝わってくる。悪くない。このバンドの若干引っかかる点としてあった、「作りすぎ」の印象が無い。2曲目、CDプレイヤーが誤動作を起こしたような連続音がマシュー・シップらしさを思い出させる。どちらかというと神経に障るこの手の異音にどういう音楽的効果があるのか、なかなか難しいところだ。無機質な機械音によって聴き手の意識を常時覚醒させ、わかりやすい演奏の快楽に聴き手が埋没してしまうことを避けているようにも思える。だとしたらその効果は確かにあって、このカタカタ音と、それに合わせるようにして連続的に繰り返される水滴が落下するような異音が、フツウに音楽に浸る状況を「異化」している。
しかしそれがプラスに作用しているのかというとなんとも言えず、個人的には単に「カンに障る」というネガティヴな印象しかなかった。だが、それを除けば、マシュー・シップのピアノは快調で、ライヴ空間ならではの闊達さが好ましい。
後半に登場するサックスのフリークトーンは、いかにもといったカンジで昔ながらのフリージャズを思い出させるが、それに絡むシップのピアノがけっこうクールなので、その辺りはやはり現代的。通して聴いた感想は、ライヴ会場でならけっこう楽しめたろうが、「アルバム」としてのまとまり感はいまひとつと思う。こうしたところがこのバンドの問題点なのではないだろうか。



