スタジオ録音の『ニュー・バップ』は傑作だった。
このライヴがカーター抜きのトリオ作品だったらなあ…
ニューヨークは世界一のジャズ・シティである。と、断言するつもりはないが、あのテンションの高さ、身を切られるような緊張感はやはりニューヨークならではのものではないかと思う。
が、同地で活動しているミュージシャンがすべて超一流、誰からも文句の言わせない名手ばかりであるとは、僕にはどうしても考えられない。
このアルバムに参加しているダニエル・カーターがいかほどの人物なのかも、僕の頭の中ではクエスチョン・マークのままだ。彼のライヴは何回か体験している。昨年はエリ・ヤマモト(ピアノ)、ウィット・ディッキー(ドラムス)とのトリオを見た。が、見れば見るほど、聴けば聴くほど、クエスチョン・マークが浮かぶ。
僕は多大な期待を持って本作を再生した。スタジオ録音の『ニュー・バップ』は傑作だった。ダニエルのプレイもフレームに収まっていた。レベルの高い作品が並ぶマシュー・シップの作品中でも、あの『マルチプリケイション・テーブル』の次ぐらいには位置しているだろう。そのライヴ・ヴァージョンが遂にCD化されたのだから、ファンとしてはいやがおうにも熱くなろうというものだ。
しかし、どうだろう。少なくともダニエルの出てくる箇所は僕の心にまったく触れなかった。5曲目にさしかかってから、「ああ、でも、やっぱりそれなりにいいアルバムじゃないか」とようやく思い始めたけれど、これがマシュー、ウィリアム、ギジェルモのトリオ作品だったらなあ、という気持ちは最後まで捨て切れなかった。
いつか僕にもダニエルのよさをわかる日が来るのだろうか?



