どう考えたらいいのかわからない、しかし魅力的な音楽
「ジャズ批評」誌 2010年3月号の特集「マイ・ベスト・ジャズ・アルバム2009」において、私は本作を推薦した。実際大変気に入っていて、一時期はこればかり聞いていたものである。せっかくなので何か気の利いた紹介文でも書きたいところなのだが、なかなか思うようにいかない。どうやら、私はこの音楽の微妙な良さをうまく表現するだけの語彙を持っていないようだ。そもそもこの手のものは百聞は一見に如かずというところがあるので、とりあえずYouTubeに上がっているライヴ映像を見ていただきたい。この曲は本作にも収録されている(2曲目)。
映像中でコルネットをむやみに吹きまくっていたおっさんが、リーダー格のテイラー・ホー・バイナムである。彼に、ヴィオラのジェシカ・パヴォン、ギターのメアリー・ハルヴァーソン、ドラムスのトーマス・フジワラを加えた4人が、このカルテット、ザ・サーティーンス・アッセンブリーの構成員だ。彼らはニューヨーク・ブルックリンを拠点とするインプロヴァイザー、作曲家で、元々ばらばらにデュオやトリオで組むことの多かった友人同士のようなのだが、どうせツアーするならと一緒に行動するようになったのがグループ結成の経緯らしい。彼らには、全員がコネチカットの名門ウェズリヤン大学におけるアンソニー・ブラクストンの教え子という共通点もある。
ジャズにロック、ファンク、果ては現代音楽と様々な音楽領域を軽々と越境する彼らは、その異様な楽器編成も相まって、他の誰にも似ていない個性を獲得している。「非センチメンタル」というアルバム名の通り、ベタベタした浪花節風味のないカラカラに乾いた音響が耳に心地よい。確かに、師匠のブラクストン的に頭でっかちな部分はなきにしもあらずなのだが、かといってまるで血の気が感じられないポストモダン風スタイル陳列大会かというとそんなこともなく、何か得体の知れない強い感情が漂っているところに不思議な魅力を感じるのだ。そして、知らず知らずのうちに中毒になる。
きっちりと構成された、しかし全体としてはなんだかわけのわからない、安易なカテゴリ分けを拒否するようなストレンジな音楽には、個人的に強く惹かれるものがある。このグループは、今後もそうした音楽を私たちに送り出し続けてくれるに違いない。
The Thirteenth Assembly <http://www.myspace.com/thethirteenthassembly>



