益子博之のニューヨーク放浪記 2010年6月編 vol.04
wandering & wondering in upper east side - part 4
実は今回、会社から休暇取得とバーターであるタスクを課せられていたのだが、それは某案件の営業時のイメージ訴求に使えるような写真をユニオン・スクエアのグリーン・マーケットで可能な限り多く撮影してくる、というものだった。マーケットは7時30分スタートなので、7時に目覚し時計をセット。3時間程度の睡眠で気が付きはしたものの、とても起きられるような状態ではない。そのまま眠ってしまったらしく再び気が着くと8時40分、慌てて身支度をして部屋を出る。
朝っぱらから猛烈な暑さだ。今朝も念のため86ストリート駅に向かう。幸いなことにダウンタウン方面の6トレインは復旧していたが、ユニオン・スクエア駅ならエクスプレスが停まるのでそちらを使う。潰れたユニオン・スクエアのヴァージン・メガ・ストアの跡は、ドラッグ・ストア・チェーンのドゥエイン・リードになるらしい。9時30頃から撮影開始、これから露店を開ける所もあるくらいなので、時間的にはちょうど良かったのかもしれない。小一時間掛けて、野菜や果物の接写、各露店の店員と来店客の様子、グリーン・マーケットそのものの雰囲気と適宜撮影。一仕事終えるとそれなりの達成感と安堵感を味わうことが出来るものだ。
さて朝飯だが、シティ・ベーカリーはまだランチ前なので大した物を置いていない。そこで、昨年行った6アヴェヌーと14ストリートの角にあるGusto Grilled Organicsに行くことにする。ランチのプリ・フィクスが16ドル。ルッコラと胡桃とマンゴーのサラダに鶏胸肉のソテー、ブロッコリ添え、コーヒーをチョイス。サラダは良かったが、鶏は硬くてイマイチ。税金、ティップを足して支払いは20ドル。
ユニオン・スクエアまで戻って6トレインでアップタウンへ。大して歩いたわけでもないのに頭痛が激しくなってきた。週間予報によるとニューヨークは連日30℃オーヴァー。熱中症に気を付けねばなるまい。夜まで横になって身体を休めよう。目覚し時計は5時にセット。最初はなかなか寝付けなかったが、いつの間にか熟睡していたらしい。一旦5時に目は覚ましたもののとても動けない。再び目を醒ましたときは6時になっていた。そろそろ動き出さなければ。だが、かなり朦朧としていて相変わらず現実感が稀薄だ。
今日聴きたかったものは、ブルックリン、バーベスで8時のベネフィット・バンド(アンドルー・ディアンジェロが脳腫瘍で倒れた際に救済コンサートのために編成された)と、ロワー・イースト、ローカル269で8時30分、ヴィジョン・フェスティヴァルのプログラムでもあるティム・バーンの新バンド、ロウェスト・コモン・デノミネイター。ティム・バーンのほうが優先順位が上か。今夜は途中で食事が取れる店でもないので、早めに2アヴェヌー駅まで下り、24時間営業のトルコ・ケバブ料理専門店、Bereketに初挑戦。ラムのミックス・グリルをピタ・パンに挟んだGrill Kofteとトルコ・コーヒーを注文。コーヒーはちょっと癖が強かったなぁ。
さっさと食事が済んでしまったので、まだ30分以上早いがローカル269に向かう。中からは前のバンドの音が聞こえている。ドア脇のプログラムを確認すると事前情報とは時間が違っていて、バーンの出演時間は9時30分に変更されている。なんだよ、バーベス、余裕で行けたじゃん。一気に目が覚める。慌てて2アヴェヌー駅に戻り、Fトレインを待つ。一体、ツイているのか、運が悪いのか、わからないような気分だ。時間にルーズな奴らなのだから、スタートが押しているかも、と淡い期待を抱く。逸る気持ちとは裏腹に、地下鉄はノロノロ進んでいる。7アヴェヌー駅南西出口を出てドア奥のカーテンの後ろに滑り込んだのは8時30分。
8:30pm at Barbes, 376 9th Street, Brooklyn
CareFusion Jazz Festival NY :
Skirl Records Showcase - ENDANGERED BLOOD (né THE BENEFIT BAND)
Oscar Noriega - alto sax, bass clarinet; Chris Speed - tenor sax; Trevor Dunn - bass; Jim Black - drums.
($10 cover/1 drink minimum)
アップ・テンポの8ビートに乗ってクリス・スピードとオスカー・ノリエガが激しいブロウの応酬を繰り広げている。ノリエガは始めて見るが、意外に小柄でスピードと同じくらい。短髪に髭の風貌が何処となくペーター・ブロッツマンに似ている。次の曲は、哀愁漂うバルカン・メロディ、Yeah Noのレパートリーだ。ジム・ブラックはマラカスを振って軽やかなリズムを添える。次は16ビートのファンキーでロッキンなナンバー。打って変わってメトリック・モデュレーションとストップ・タイムの嵐で怒涛のように煽り立てる。どうも2タイプの曲を交互に演奏しているようだ。
ふと振り返るとクレイグ・テイボーンがいる。ジムは演奏が盛り上がるとヘヴィ・メタルのように強いアタックで叩き捲くるので、キック・ドラムがズルズル動いてしまう。ドラム・ソロではノリエガが気を遣ってキック・ドラムを押さえる一幕も。9時を回った辺りで小休止。スピードがMC、「同じメンバーで同じ曲目を演奏するベネフィット・バンドというのがあるけど、今日は違うバンドなので、そこのところ間違えないように」と冗談めかして言う。そろそろ戻らないと間に合わない。テイボーンに声を掛けて駅に小走りで向かう。
Fトレインがなかなか来ない。往路と同じく30分ほどで到着できた。外に丁度バンドを紹介するアナウンスが聞こえてくる。突入すると中はギッシリ入った観客の人いきれで物凄い暑さと湿気に覆われていた。


