column / コラム
back number
2010.07.28

益子博之のニューヨーク放浪記 2010年6月編 vol.05

wandering & wondering in upper east side - part 5

9:30pm at The Local 269, 269 East Houston Street, NYC
Vision Festival XV :
THE LOWEST COMMON DENOMINATOR
Herb Robertson - trumpet, fluegel horn, piccolo trumpet, valve trombone, megaphone; Tim Berne - alto sax; Matt Mitchell - keyboard, electronics; Dan Weiss - drums.
($15 for 2 sets/1 drink minimum per set)


相変わらず意味があるんだかないんだかわからないような捻ったバンド名だ。近作のバファロー・コリジョンのCDで匂わせたように、今のバーンの関心は「音響」に向いているのだろう。最早フレーズらしきものはほとんど吹かずに音色の変化に集中している。名前も聴いたことの無い新メンバー、マット・ミッチェルはキーボードを操作しているが、これはラップトップのコントローラーとしてしか機能していない。もう一人、新加入のダン・ワイスは奇数拍子やギクシャクしたリズム・フィギュアとストップ・タイムの組み合わせで時間感覚を撹乱する。

ハーブ・ロバートソンは例によって楽器を引っ切り無しに持ち替えながら、様々なミュートやメガフォンを使って異様なサウンドを発している。40分ほどで1曲目の集団即興が終了。大量の発汗が全然止まらない蒸し風呂状態が続く。2曲目は断片的なフレーズを只管繰り返す、従来のスタイルの片鱗を見せた。ワイスも急速調の4ビートで応えれば、ミッチェルはベース音でリフを奏で始める。音響的アプローチとジャズ的アプローチが鬩ぎ合いながら演奏はヒート・アップし、10時30分を回った頃、唐突に終了した。

トイレから出てくるとスコット・フリードランダーに呼び止められる。こちらも録音と撮影に精を出している姿には当然気付いていたのだが。あのアルバカーキの放送局の人も隣で録音している。観客はだいぶ減ったものの椅子は確保できなかった。スコットの足元に座っていいかと相談する。この場所は空調の冷気の通り道になっているらしく好都合だ。


10:40 at The Local 269, 269 East Houston Street, NYC
Vision Festival XV :
CRACKLEKNOB
Nate Wooley - trumpet; Mary Halvorson - electric guitar; Reuben Radding - bass.


昨日、ハリス・アイゼンスタットのグループで見たネイト・ウーリーと、注目度急上昇中の女性ギタリスト、メアリー・ハルヴァーソンを含むトリオ。かなり複雑なパッセージをペットとギターで合奏したりするので、書かれた部分も少なくないようだが、こちらも「音響」的な即興の比重の高い音楽を聞かせた。息と唇の振動によって生み出される楽音とは異なったノイジーなサウンドは、今やそれほど物珍しいものではないが、こうして続けて聞かされるとロバートソンの影響力というものも満更捨てたものではないことがわかる。

ハルヴァーソンは、ちょっとオタクっぽい雰囲気のメガネ女子。だが、しっかりしたテクニックに加え、微妙に変調されたどこか居心地の悪そうな独特のムードをサウンドに滲ませている。5〜6分前後の短めの曲を立て続けに演奏。最後まで今ひとつ聴き所が掴めないままだったが、40分あまりで短めのセット終了となった。スコットに「また」と声を掛けてそそくさと店を後にした。

走ったり、暑かったり、今日も流石に疲れた。だが、今夜は昨夜とは打って変わって風が涼しく歩くのも楽だ。それに、好みの音楽を聴けたためか、少し元気が出てきたような気もする。明日は昼まで予定が無いのでゆっくり寝られる。Fトレインに乗ると目の前にダウンタウン・ミュージック・ギャラリー店主のブルース・ギャランターがジャズ評論家らしき黒人と並んで座った。うっかり次の駅で降りるのを忘れてしまう。遠回りでの乗り換えになった結果、部屋に着くまで1時間近くも掛かってしまった。ちょっと小腹が空いてきたので、2アヴェヌーと92ストリートの角にあるピザ店、Delizia 92に寄り道。空腹で目覚めるのは避けたいのだ。モッツァレラを1スライスに小さなグリーン・サラダ。予想外のヴォリュームだったが、難なく平らげてしまう。今夜は早く寝付けると良いのだが。

トラックバック

このエントリにトラックバックはありません。
トラックバックURL:
このトラックバックURLを使ってこの記事にトラックバックを送ることができます。 もしあなたのブログがトラックバック送信に対応していない場合にはこちらのフォームからトラックバックを送信することができます。
※トラックバックする記事には,この記事へのリンクを含めてください。
※記事と直接関係のない内容のトラックバックはお断りする場合があります。
連載タイトル一覧
General
disc review
live review