column / コラム
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2010.07.28

益子博之のニューヨーク放浪記 2010年6月編 vol.06

wandering & wondering in upper east side - part 6

2010年6月22日(火)

断続的に目が覚めたものの、昨日までに比べれば良く眠れたようだ。10時頃からモゾモゾと動き始める。今日の昼はNY在住ジャーナリストの手代木麻生女史と会食の予定。アパートを出ると曇り気味の天候のためか、昨日までよりかなり過ごしやすそうな気温と湿度である。身体は重いが、頭痛はほぼ解消。約束の1時より少し早めにイースト・ハウストン・ストリート沿いのホール・フーズ・マーケットに到着する。生鮮食品売り場はまるで冷蔵庫の中にいるような寒さ。だが、周囲のアメリカ人たちは薄着のままで平気な顔をしている。一回りして入り口に戻ると手代木さんが待っていた。

奥のほうに惣菜売り場があり、そこで購入したものを食べられるスペースが2階にあるという。温・冷のサラダ類からパスタ、肉料理、サンドウィッチ、ピザにデザートまで目移りするほどに豊富な食べ物が並んでいる。ここから紙製の箱か、トレイに好きなものを好きなだけ盛り付け、重量に応じてレジで代金を支払う仕組み。根っからの貧乏性のために目一杯詰め込んだ上にデザート3種まで盛ったので御代は12ドル19セント也。去年のシティ・ベーカリーでは15ドルくらい払ったので割安感はこちらに分がある。

2階のカフェ・スペースは想像以上に広く、回転寿司のカウンターまである。お互いの近況から、東京とNYの食を巡る状況、あるいはTwitterやFacebookなどのソーシャル・メディア〜iPadやiPhoneなどのデジタル端末を巡る状況の異同について、アメリカ政府のプライオリティが日本からあっさり中国に移ったことへの感慨、それを踏まえた日本経済の行く末について等々、取り留めのない話の連続で時の経つのも忘れてしまう。それでも3時を過ぎたので、一先ず話を切り上げることに。NYでは最近地ビールの醸造所が増えたためか、時ならぬビール・ブームが到来しており、自家製ビール・キットまで登場しているという。売り場を案内してもらい、チョコレート・メープル風味が意外に美味しいと説明されるのだが、どうにも想像がつかない。

96ストリート駅からアパートに向かう。この辺りは、2アヴェヌーと3アヴェヌーの間の傾斜面に高層アパートが立ち並び、その狭間に低層の住宅や商店街が軒を連ねている。今まで泊まった中で一番生活臭を感じるエリアだ。3アヴェヌー沿いを歩いていると小雨が降ってきた。夕方には止んで欲しいものだが、天気予報はあまり思わしくない。

夕方までゴロゴロ、ウトウトして過ごし、7時に部屋を出る。雨が降ったお陰で、気温も湿度も幾分下がったようだ。今日1本目は、東京・池袋にあるライヴ・ハウスMiles' CafeのNY支店。Brooklyn Jazz Undergroundというインディ・レーベルから今年リーダー作を出したロブ・ガルシアのクォーテットが出るという事前情報からリスト・アップ。目当てはテナーのノア・プレミンガー(プレミンジャー?)だったのだが、ウェブサイトで再確認すると出演はトリオになっていた。行くべきか迷ったが、TBAだったベースがジョン・エイベアになっているので、一先ず聴いておくことにする。

住所が52ストリートなのは、やはり何かのこだわりか? 高級ホテルや大企業のビルが並ぶエリアで家賃も高そうなのだが。如何にも高そうなビルの入り口をベルを鳴らして開けてもらう。8時スタートだと思い、30分前に着いたのだが、受付の日本人女性によるとドア・オープンが8時で演奏は8時30分からだと言う。そこから聴いたのでは次のブルックリンに間に合わない。それでも折角初めての店に来たのだから、触りだけでも聴いておこう。中はライヴ・ハウスというより、モダン・アートのギャラリーといったほうが似つかわしい雰囲気。小腹が減っているので緑茶とミックス・ナッツを頼む。リカー・ライセンスを取得していないのだろうか、メニューにアルコール飲料が載っていない。気を遣ってくれたのか、8時15分になるとトリオの演奏が始まった。


8:15pm at Mile's Cafe, 212 East 52nd Street, NYC
Rob Garcia 3
Dan Tepfer - piano; John Hebert - bass; Rob garcia - drums.
($10 cover/$7 minimum per set)


確かに上手いが普通のピアノ・トリオ。リー・コニッツに気に入られているらしいダン・テプファーは、低音部を強調したり両手でブロック・コードのユニゾンを奏でたりと、これまでの録音で聴いた通りの個性を示す。四重奏団でのCD『Perennial』の1曲目「Joe-Pye Weed」はお気に入りなのでついつい聴き入ってしまう。そろそろ退出しないと本当に間に合わなくなる。店主に予定があって帰るので気を悪くしないよう伝言して欲しいと頼むが、「お前等の演奏がつまらないからブルックリンの別の店に行ったとちゃんと言っておきます」と冗談で返される。

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