pick up disc / 注目作クロスレビュー
2010.07.29
Disc Jacket
後藤雅洋の見解
Steve Coleman and Five Elements: Harvesting Semblances and Affinities

PI Recordings PI33

1. Attila 02 (Dawning Ritual) 2. Beba 3. Clouds 4. 060706-2319 (Middle of Water) 5. Flos Ut Rosa Floruit 6. Attila 04 (Closing Ritual) 7. Vernal Equinox 040320-0149 (Initiation)

Steve Coleman (as), Jonathan Finlayson (tp), Tim Albright (tb), Thomas Morgan (b), Marcus Gilmore, Tyshawn Sorey (ds), Ramon Garcia Perez (per), Jen Shyu (vo)

中国系ヴォーカルの起用による「刺激」は良い効果を発揮しているのだろうか?

スティーヴ・コールマンはブルックリン派としてデビューした頃からカサンドラ・ウイルソンをフィーチャーし、歌伴のサイドという発想とはまったく異なるスタンスでヴォーカリストを自分の音楽の中に組み込んでいた。だから、このアルバムがJen Shyuのヴォーカルを前面に押し出していること自体は、さほど不思議ではない。

しかしJen Shyuの参加の意味は、カサンドラと同じではない。カサンドラの場合は、同じブルックリン派の仲間という関係だったが、Jen Shyuはチャイニーズなので異文化が交錯する効果が生まれる。まったくの思いつきだが、大昔オーネット・コールマンが読売ランドのライヴ・アンダーザ・スカイに「謎の日本人女性ヴォーカリスト」を伴って登場した時、「面白いこと考えるなあ」とファン一同フクザツな気持ちを抱いたものだが、同じ東洋系ヴォーカルという連想から、あの時のことを思い出してしまった。

そして、「そうか、オーネットは違う感覚がほしかったんだ」と今頃になって合点がいったのだが、そうした視点で見れば、まったく音楽の傾向は違うけれど、ジョー・ザヴィヌルがサリフ・ケイタと共演したのも、似たような心つもりだったのだろうか、などと、連想は果てしも無く広がってしまった。

まあ、こうした想像は当たらずといえども遠からずなのではなかろうか。要するに刺激を求めているのですね。ではこの「刺激」は良い効果を発揮しているのだろうか。ウーン、難しい。悪くは無い。気になるところも無い。しかし、その先のもう一歩が足らないように思うのだ。というか、どのトラックも若干一本調子の気味があり、そのせいか印象が散漫になってしまい、「これはスゴい」というところまでは行ってないように思う。

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