ビル・フリゼール、Nonsuchをリストラされる!! ビッチェズ・ブリューは40周年で、テオ・マセロ編集マスターを使いリマスタリングか!?
com-post.jp掲示板に2回ほど書き込んだ新譜情報が密かに好評だったのと、最近の新譜がよく解からないので新譜情報が欲しいという声に答え、新譜レヴューのコーナーに新譜、再発盤のリリース情報を不定期に掲載することとなりました。ピックアップするCD等は私の趣味に偏ってしまうかもしれませんがよろしくお願いします。今回は8月に発売される新譜、再発盤に絞って選盤しました。Bill Frisell、Michael Formanek、Scott Colley、Vijay Iyerなど注目盤が多数リリースされます。Miles Davis: Bitches Brew - 40th Anniversary Super Deluxe Box Set Editionなど今買っておかないと今後入手困難となること必須!
Bill Frisell(g) Eyvind Kang(viola) Rudy Royston(ds)-
Bill Frisell一年ぶりの新作は、Nonsuchを離れSavoy Jazzから登場。

Michael Formanek(b) Tim Berne(as) Craig Taborn(p,elp) Gerald Cleaver(ds)-
グリニッジの怪人Tim Berneと久々の共演。Tim Berne、Gerald Cleaverという組合せも期待大!

Scott Colley(b) Ralph Alessi(tp) Brian Blade(ds) Bill Frisell(g) Craig Taborn(p) -
イケメン・ベーシスト Scott Colley の新作は、Bill Frisell、Brian Blade、そしてCraig Taborn参加の超期待作!

Vijay Iyer(p)-
Vijay Iyer初のソロ・ピアノ・アルバム。1曲目はなんと「Human Nature」。Mike Laddとの共作『何語で?』以来の国内盤もVideo Arts Musicから先行リリース(タイトル『デビュー』)。 〈アルバム詳細〉

Conrad Herwig(tb) Eddie Palmieri(cl,as) Randy Brecker(tp) and others.-
Herbie Hancockの超有名曲の数々をラテン・ビックバンドで! Oliloqui Valley, One Finger Snap, Butterfly, The Sorcerer, Actual Proof, Maiden Voyage, Cantaloupe Island, Watermelon Man. 収録。

Antonio Sanchez(ds) Scott Colley(b) Miguel Zenon(as) David Sanchez(ts) Recorded live at Jazz Standard, NY, 2008.10.2-5
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Pat Methenyグループのドラマーとして定着した感のあるAntonio Sanchezのレギュラー・グループによる2枚組ライヴアルバム。Miguel ZenonとDavid Sanchezがきっと熱いんだろうなぁ。

Guillermo Klein(piano,arranger,director) and others.-
ニューヨークで活動するアルゼンチン出身のビックバンド・リーダー Guillermo Klein の"Cuchi" Leguizamon作品集。"Cuchi" Leguizamonは、2000年に亡くなったアルゼンチンのミュージシャンらしい。気になる。詳細は不明。

Rebecca Martin(vo,g) Larry Grenadier(b) Bill McHenry (sax)-
Larry Grenadierの奥方Rebecca Martinの新作。今回は小編成でフォーキーなヴォーカルがいいかも。ヴィレッジの古き良きコーヒーショップ文化の残り香が聴こえそう。

Theo Bleckmann(voice)-
Theo Bleckmannの魅惑のソロ・ヴォイス・パフォーマンス。

Kenny Werner(p) Joe Lovano(ts) Judi Silvano(vo) and others.-
ジャズ・ピアニストであり、コンポーザー、アレンジャーでもあるKenny Wernerの娘に捧げた大編成作品。

Matthew Shipp(piano)Recorded live in Moscow February 11, 2009 at the DOM cultural center.
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Matthew Shippのモスクワでのソロ・ピアノ・ライヴ。2枚組みかぁ。

Dave Liebman(featured soloist) Gunnar Mosslbad(director,as,fl,cl) David Lown(ts,cl) Jay Brandford, Chris Karlic(bs,bcl) Charles Pillow(as,oboe,fl) Dave Riekenberg(ts,fl,cl) Danny Cahn, Bob Millikan, Dave Ballou, Patrick Dorian(tp) Tim Sessions, Scott Reeves, Sam Burtis, Jeff Nelson(tb) Jim Ridl(p) Vic Juris(g) Tony Marino(b) Marko Marcinko(ds)-
OmniToneから発表された『Beyond the Line』以来のビッグバンド作品。今作もdirectorは、Gunnar Mosslbad。『Beyond the Line』は、今ひとつのできだったが今回はどうかなぁ。

Chick Corea(p) Stanley Clarke(b) Lenny White(ds)-
昨年末ブルーノート東京で行われたピアノ・トリオ・ライヴの流れで録音された2枚組みCD。アコースティック版Return To Forever。

[LP1/2] Original[CD1/2] Original + 6 bonus tracks
[CD3] Tanglewood, Lenox, MA, 1970.8.18
[DVD] Tivoli Konsertsal, Copenhagen, 1969.11.4
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Bitches Brew 40周年を記念してリリースされる2LP+3CD+1DVD構成の豪華デラックス・ボックス・セット! 米盤のみのリリース。テオ・マセロ編集版によるリマスタリングがされたという噂あり。〈アルバム詳細〉

[CD1/2] Original + 6 bonus tracks[CD3] Tanglewood, Lenox, MA, 1970.8.18
[DVD] Tivoli Konsertsal, Copenhagen, 1969.11.4
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日本では、LP無しの3CD+1DVDとしてリリース。

[CD1/2] Original + 6 bonus tracks[DVD] Tivoli Konsertsal, Copenhagen, 1969.11.4
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US廉価盤は、LPとTanglewoodのライヴCDが無い2CD+1DVD。

こまごまと収録されているレア・トラック群。
NYにさえ植木等の代わりなどいないことを痛感。
クレイジーキャッツ結成55周年を記念して植木等『植木等伝説』、谷啓『ガチョーン伝説』、ハナ肇とクレイジーキャッツ『クレイジー伝説』の3点が同時リリースされたので買った。クレイジーがいつ結成されたのかに関しては諸説あるのだが、最近は「渡辺プロダクションの創設時がグループの結成時」ということになっているようだ。結成45周年、50周年のときにも作品リリースがあったと記憶するけれど、今回のラインナップは、いままでまとめて“クレイジーもの”としてくくっていた音源を、植木のリード・ヴォーカル、谷のリード・ヴォーカル、全員のリード・ヴォーカルものに分けたところに特色がある。つまり「スーダラ節」は植木伝説に入っているが、「ホンダラ行進曲」はクレイジー伝説に入っている。「あんた誰」はもちろん谷伝説で聴ける。
『植木等伝説』は、CD3枚+DVD1枚で5555円という大盤振る舞い。ぼくも相当、植木関連は集めてきたつもりだったのだが、いやー、今回もレア・トラックがこまごまと収録されている。東海林太郎の歌唱で知られる「麦と兵隊」をカヴァーしていたのも驚きだし、1961年録音と推定される「ヒグチ薬局の歌」の復刻にも快哉を叫びたい。また3枚目のCDは、90年代に入ってからの再評価のきっかけとなったファンハウス時代の音源で占められている。あれだけ上手いクルーナーだった植木にも寄る年波が・・・と思えるところもなくはないが、「地球温暖化進行曲」(行進曲ではない)あたり、まるで現在の地球の混沌を予見しているかのような展開に頭がくらくらする。
DVDは91年に行なわれたワンマン・コンサートの映像。かつてVHSで出ていたものをそのままDVD化している(約1時間)。どうせならコンサートの全貌をまとめてほしかった気もするが、ぼくのような“遅れてきた世代”にとっては実にありがたい映像だ。ぼくが上京した当時、植木等はまだ健在だった。ライヴも舞台もやっていた。テレビにも出ていた。が、「まあいずれ見れるだろう」と思っていたのがいけなかった。
“植木等、死す!”。そのニュースが流れたとき、ぼくは成田空港にいた。JFK空港に着いたとき、ぼくは機内にあるすべてのスポーツ新聞を乗務員の許可をもらって持ち帰り、ホテルでその記事をずっと見ていた。そしてこう思った。「ここニューヨークにさえも、植木等の代わりになれるひとなどいないのだ」、と。
SP盤からではなく金属原盤からのリマスター。
生々しい音がスクラッチ・ノイズなしに味わえる。
こういうCDを待っていた。歌手・古川ロッパを満喫できるコンピレーション・アルバムだ。ロッパときいて、ぼくが真っ先に思い浮かぶのは「古川ロッパ昭和日記」という大著である。戦前から戦後までほぼ毎日のように所感(主に食事に関して)を綴っていたものの書籍化なのだが、それを読むと、戦後まもなく、日本人民の99%がロクなものを食っていなかったであろう時代にロッパは旨いものをたらふく食い、酒を飲んでいたこともわかる。戦後のロッパは落ち目になったというのが定説だが、それでもなお、健啖を発揮するに足る金回りはあったわけだ。ロッパは生涯に約100枚ものSP盤をリリースしているので、ここに入っているのはその約2割ということになる。17曲目までが戦前〜戦中、18曲目以降が戦後のものだ。音質も思いのほかよく、とくにビクターへの録音はSP盤からではなく金属原盤からのリマスターであるのがすごい。「ビクターの工場は空襲で焼けた」といわれているだけに、金属原盤が残っていたとは驚きだ。モノラルなのに、ドラムスが後方にいて、ブラスがその前にいて、さらにその前にコントラバスや弦楽器がいて、さらにその前にロッパがいる・・・・というような図が浮かんできそうなほど生々しい音が、ほぼスクラッチ・ノイズなしに味わえる。
また、歌詞の中には「銀座通れば 柳が招く メリーランドよ ジャズの街」、「ネオンサインが真赤に燃えて ジャズのレコード小唄が廻る」、「ジャズのステップ 知ったかぶりに 知らぬ顔して 足をふむ」といったフレーズもあり、最初に歌詞にジャズという単語が登場したといわれる「東京行進曲」(1928年)から約10年を経た1930年代半ばの日本でも、ジャズが依然として最もハイカラな西洋文化(ダンス・ミュージック)として捉えられていたことをうかがうこともできる。
ライナーノーツは本作を企画された石川茂樹氏、71年生まれの中野正昭氏(同年代のライターとして敬意を表する)、そして巨匠・瀬川昌久氏の3名が執筆。瀬川さんはロッパ、エノケン、金語楼、伴淳などの舞台を見ておられるとのこと。チャーリー・パーカー、バド・パウエル、クリフォード・ブラウンのライヴを体験したというだけでも羨望ものなのに、生ロッパや生エノケンもご覧になっているとは・・・、改めて、おみそれしました、である。
ゾーンの映画音楽シリーズはジャンルの壁を軽々と横断して
こちらの想像力を刺激する、極めて優れた音楽ばかりだ。
英語に「larger than life」という言い回しがある。彼はlarger than lifeだったとか、そんなふうに使う。辞書を引くと、「並はずれた、英雄的な、叙事詩的な」というような説明が出てくる。私の偏った印象かもしれないが、この表現は一口に英雄と言っても聖人君子ではなく、功罪相半ばして評価が難しいとか、人格やプライベートに問題があって波乱に富んだ人生を送ったとか、そういったタイプの人に用いられることが多いような気がする。ジャズで言えば、同じ超一級の音楽家でも例えばクリフォード・ブラウンやキャノンボール・アダレイあたりをlarger than lifeと言うと個人的には何となく違和感があるのだが、パーカーやマイルス、ミンガス、ラサーン・ローランド・カークあたりをlarger than lifeと呼ぶとしっくりくる。思えば真のジャズ・ジャイアンツと言われるような人々は、みなlarger than lifeであったようにも思う。
larger than lifeな人々の人生は往々にして派手でドラマチックなので、ドキュメンタリーの題材にはぴったりだ。というわけで、とうとうXXIII、すなわち23作めを数えることになったジョン・ゾーンの映画音楽集『Filmworks』の、今のところ(ずいぶん前に買ったのだが、本業が忙しくて聞いていなかったのでレビューが遅れた)最新作であるこの『El General』が伴奏をつけるのは、メキシコ史上最もlarger than lifeな人物の一人と目される独裁者、プルタルコ・エリアス・カジェス(Plutarco Elias Calles 1877-1945)の同名伝記映画である。
カジェスという人物の名前を聞いたことがあるのは、日本ではメキシコ史の専門的な研究者に限られるだろう。アル中の貧農の私生児という極貧の境遇(プルタルコスだのイーリアスだのといった大仰な名前のみならず、カジェスという姓も実は自分で適当に付けたもの)から身を興したこの男は、「革命児」ことエミリアーノ・サパタを始め、立役者のほとんどが暗殺や処刑で非業の死を遂げたメキシコ革命において、ただ一人しぶとく生き残った。1924年から大統領を一期だけ務め、その後は(再選が憲法で禁じられていたので)傀儡を次々と大統領に据えて政界の黒幕として暗躍。ちなみに、彼が支配の道具として結成したのが、2000年まで70年以上の長きに渡りメキシコの与党だった制度的革命党である。
カジェスがメキシコの実権を握っていた時代はマキシマート(Maximato)期と呼ばれ、社会保障制度の導入や労働者の団体交渉権の保障、小作人への農地再分配など急進左派的な改革が進む一方、国家と宗教の関係や教会財産の扱いを巡ってカトリック教会と激しく対立した(カジェスは過激な無神論者だった)。最終的にこの対立は、クリステーロス(Cristeros)戦争と呼ばれる、政府対聖職者の内戦という前代未聞の事態へと発展することになる。結局この戦争では政府側が実質的に勝利を収めたが、講和してもなお聖職者を次々と殺害、追放したカジェスは、「尼僧焚殺者」との悪名をほしいままにした。しかしこのカジェスの所業こそが、伝統的に大地主層と結びつき、中南米の封建的圧制の維持に貢献することが多かったカトリック聖職者層を政治や教育の場から排除することにつながり、その後のメキシコの近代化と発展に大きな影響を及ぼしたのである。カジェスが「近代メキシコの父」と呼ばれるのも故無きことではないのだ。
しかし、その後のカジェスの体制は次第に腐敗と独裁色を強めていく。ストライキや共産党の禁止、土地再配分の遅滞といったカジェスの「裏切り」に、労働者や農民といった従来の支持層は急激に離反。更には「金シャツ団」なる団体を手先とした反ユダヤ、反華僑のファシズム的傾向をも強めることになるカジェスは、最後に致命的な失敗を犯してしまう。かつての部下、ラサロ・カルデナスを大統領に据えたのである。しかし、後に「メキシコ史上最良の大統領」と言われることになるカルデナスは、カジェスの傀儡に甘んじるような人物ではなかった。
カルデナスによって徐々に、しかし着実に側近が要職から排除されていく中、有効に反撃できなかったカジェスは1936年、反乱罪で逮捕されアメリカ合衆国に追放される(逮捕時にはヒトラーの『わが闘争』を読んでいたと伝えられる)。アメリカではメキシコ史上最大の哲学者と言われ、かつて自分が追放した政敵でもあるホセ・ヴァスコンセロスと親交を結び、心霊術に傾倒。最晩年には恩赦でメキシコに戻り、静かな余生を送った。かつては無神論者として鳴らしたカジェスだが、死の直前には「より高次の力」の存在を確信していたと言う。
というような、一概に善玉とも悪玉とも、英雄とも悪漢とも言い難い、そもそもそう言った分かりやすい二分法を嘲笑するかのような波瀾万丈のややこしい人生を送ったカジェスの伝記映画を、メキシコ出身の新進女性監督ナタリア・アルマーダが撮ったのが『El General』というわけだ。この作品は2009年のサンダンス映画祭に出品され、監督賞を取るなど注目された。実はアルマーダ監督はカジェスの曾孫、かつマーク・リーボーの親友なんだそうで、そのつながりでゾーンに映画音楽を委嘱したらしい。多忙を極めるゾーンは当初あまり乗り気ではなかったようだが、執拗な要請、そしてリーボー経由の依頼なら、ということで、必要なだけのスコアを書き上げた。そしてリーボーを含むクインテットに演奏させたのが、本作ということになる。にも関わらず、実際の映画ではゾーンの曲は結局3曲しか使われなかったので、ゾーンは憤慨というか呆れているらしい。あの曾祖父あってこの曾孫ありということか。
そういった舞台裏のあれやこれやはともかく、音楽自体は美しいメロディと強い情景喚起力で、映画とは独立した鑑賞に耐える。私自身、映画は未見だが、曲のタイトルから、どういう場面で使われた(あるいは使われる予定だったか)はなんとなく想像できる。少なくともその限りでは、出来が悪かったから、あるいはあまりにもイメージとずれていたから映画で使われなかった、ということではなさそうだ。マリンバやアコーディオンもよく効いているが、やはり光るのはリーボーの変幻自在のギターだと思う。
ゾーンの映画音楽シリーズは、彼の膨大な作品群の中でもとりわけ軽視されがちな分野だ。所詮は映画音楽、スタイルがバラバラ、そもそもゾーンが吹いていない、などリスナーの腰を引かせる要素には事欠かない。そのせいかあまりメディアで取り上げられることもない。しかし私が聞いた限りでは、どれもジャンルの壁を軽々と横断してこちらの想像力を刺激する、極めて優れた音楽ばかりだ。とりあえずこの「El General」から、ぜひお試し頂きたい。
絶対に名盤視されないだろう、と思える企画ものだが、
「オレがやるとジャズになるのさ」と語りかけてくるようだ
ジョー・パスの代表作を年代順にあげてみよう。最初に名前の出るのは64年のパシフィック盤『フォー・ジャンゴ』だろうか。そして次は73年の『ヴァーチュオーソ』というのが相場に違いない。もうちょっとマニアックな向きは『フォー・ジャンゴ』の前に『キャッチ・ミー』、『ヴァーチュオーソ』の前に『インターコンチネンタル』が入るかもしれない。
が、絶対に名盤視されないだろう、本人も忘れてしまいたかったのでは、と思える作品もパスはパシフィック後期に残している。
このCDにカップリングされた2作も、聴いたことのないひとにはゴミ、カス扱いされてもおかしくない企画ものだ。しかしそこはジョー・パス。なんだかんだいって相当、いいや、大変に手ごたえのある内容になっている。
前半の12曲は『12 String Guitar』というアルバムより。12弦ギターを持ったパスが「シャレード」、「アラビアのロレンス」、ピンク・パンサーからの「It Had Better Be Tonight」、「西部開拓史」など映画ゆかりのナンバーを流暢に奏でる。彼よりクロード・チアリのほうがふさわしいに違いないイージー・リスニング仕立てではあるが、パスのプレイは誠実のひとことに尽きる。チャーリー・ヘイデンがベースを弾いているのもマニア心をくすぐるではないか。当時ヘイデンはドラッグ療養を終え、再び演奏活動を始めたばかりだった。過去にドラッグで苦しんだことのあるパスは、ヘイデンの再出発にあたって手を差し伸べたのだ・・・と僕は想像している。
後半12曲は、『The Stones Jazz』というアルバムから。1966年の制作当時、ローリング・ストーンズに対する評価はビートルズ以上に定まっていなかったし、ジャガー=リチャード・コンビのソングライティング能力について取りざたされる機会など限りなく皆無に近かっただろう。そんなときに、“ストーンズのジャズ化”に取り組んだパス、アレンジャーのボブ・フローレンスは嗅覚が鋭すぎる。もちろん録音に際してパスがストーンズのレコードを聴き漁ったとか、ブライアン・ジョーンズやキース・リチャードにロック・ギター奏法の手ほどきを受けたということはないと思しい。パスのプレイは「素材がなんであれ、オレがやるとジャズになるのさ」と、語りかけてくるようだ。
とにもかくにも初期ストーンズのナンバーが、実にスインギーな4ビートとして解釈されている。「19th Nervous Breakdown」なんて、カウント・ベイシー楽団のレパートリーみたいだ。







