一定の音量を保ったままクールにゆがみひずむギター、
現在形のマジックを引き出すクラリネットに興奮!
まず、起きがけに聴いた。やけに短いCDだなあ、と思って、もう一度かけた。やはり短く感じる。そこで収録時間を見たところ、あら不思議。61分何秒という表示が出ている。長いじゃん。
ということはつまり、内容がそれだけ充実していたのだと考えて差し支えなかろう。駄演なら、たとえ3分でも苦行である。
是安の図太い音、空間にさまざまな小石を散りばめていくような外山のドラムスも気持ちいいったらありゃしない。土井のクラリネットも、市野の漂うようなギターとエロチックなまでに絡み合っている。
ぼくはかねがね疑問だったのだ。何がって、クラリネットが過去の楽器扱いされていることが、である。アメリカではドン・バイロン、デイヴィッド・クラカウアー、ペリー・ロビンソン、ベン・ゴールドバーグなどがこの楽器から現在形のマジックを引き出している。なのに、日本ときたらどうなんだ。ぼくの認識不足なら謝るが、クラリネットがスイング時代の遺物として捉えられているのだとすればそれはファンだけではなく演奏者にも責任があるんじゃないのか? レッツダンスもシングシングもいいが、それを継承したところで未来はないぜ。
土井のようなクラリネット吹きがあと4,5人あらわれたら日本のジャズ界はもっと頼もしくなるだろうなあ。
と、文章を締めくくろうとして、市野のギターについてあまり触れていないことに気づいた。一定レベルの音量を保ったままクールにゆがみ、ひずむあたり、ベン・モンダーあたりを相当研究したのかもなあと思う。こういうアプローチ、ぼくは大好きだし、とくに「Treat」には興奮させられた。このCDは07年録音なので、今の彼はもっと進化していることだろう。俄然、ライヴが見たくなった。



