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2009.07.08

Interview with Bill Frisell vol.01

とにかくギターが好きだった。最初に演奏したのは「パイプライン」


ここ20年ほど、最も影響力の強いジャズ・ギタリスト(影響の及んでいる範囲はもちろん「ジャズ」だけではない)は間違いなくビル・フリゼールだろう。さまざまなジャンルの音楽の記憶が重層的にスタックされ、蚕が繭を紡ぐように音の糸を空間に放出する(「空気さなぎ」のように!)フリゼールの演奏は、ジャズ・ギターを「ジャンル」と「ライン」の呪縛から解き放った。
初来日当時からフリゼールと親交のある村井康司が、5月7日の公演後に「com-post」のためのインタビューをフリゼールに依頼し、その2日後に実現したインタビューを、日本語と英語を併記するかたちで掲載する。(村井康司)


2009年5月9日(土) 丸の内・コットンクラブにて
取材・文責:村井康司・益子博之・八田真行
撮影:田中ますみ
Special Thanks to Cotton Club and Yutaka Yamashita



村井康司:まず最初に、あなたの音楽はとてもハイブリッドで、さまざまなタイプの音楽 ― ジャズ、R&R、カントリーミュージックや、フォークソング、クラシック音楽からサーフミュージックに至るまで ─ がミックスされ、スタックされたものに思えるのですが、そういう音楽の作り方をあなたはいつからするようになったのですか?
Murai:First of all I think your music is so hybrid, and mixture of many kinds of music - jazz, rock'n' roll, and country and folksong, classical music, and surf music. When did you start the music of yours ?

ビル・フリゼール:たぶんそれは少しずつ次第にそうなって行ったんだと思います。自分が演奏する時、自分のそれまでの全経験を考慮することが、とても自然に感じられるんです。自分の知識の全てが音楽の中に浸透してくるんです。どちらかと言うと私は、様々なスタイルで分離して考えたりすることをしないようにしていたのだと思います。それはまさにひとつの全体であって、すべてのものが、例えて言うと、大海の中を漂っているというか・・・。私が演奏するもの全ては、あなたがいま指摘してくれた全てのもの ─ つまりサーフミュージックに始まり、R&R、ブルースなどあらゆるもの ─ から得た知識のまさに総合といっていいものです。全てが混合されているんです。これら全てが私にはまさに自然なことに感じられます。
Bill Frisell(以下B.F.):I think it may be just a gradual thing, you know. Now when I play, it just feels natural to me to think about my whole experience. Everything that I know comes through in the music. I tried as soon as not I don’t think in different styles or dividing things like that. It just all, all these things are floating around like in a big ocean. So everything I play is just what I know from everything you mention from surf music when I first began to play with, surf music and rock’n’ roll, and blues, and so it’s all mixed together. It all only feels natural to me.

村井:ギターを弾き始めたのはいつからですか? 
Murai:When did you start playing guitar?

ビル:そう、たぶん十二歳ぐらいの時に、ギターを買ったのでしょう。小さなアコースティック・ギターでした。でもそれよりずっと前から、いつもギターにはただならぬ興奮を覚えていました。たぶん三歳ぐらいの時に、祖父と一緒に撮った写真があるのですが、小さなウクレレを手に持って、弾くふりをしています。とにかく小さい頃からギターが好きだった。テレビを見るときは、いつも決まってギターを見つめて、「うわーカッコイイ」なんて言ってましたから、常にギターには興味を覚えていたようです。そしてついに、14歳の時だったか、エレクトリック・ギター ─ それはフェンダー・マスタングでしたが ─ を買いました。いま私たちが本物のギターを持っているのと何ら変わりのない、まさに本物の素晴らしいギターでした。それからたくさんの友だちと一緒になってよく演奏しました。すぐに僕たちは色々なバンドを作り、パーティーなどの場で演奏しました。1965年のことです。
B.F.:Maybe, well, when I was about twelve years old I got it, a little acoustic guitar. But even much before I think I always was fascinated with it. I found a photo with me and my grandfather, when I was like maybe three, three years old, and had a little ukulele, pretending, you know, but I always love the guitar when I was very young, and every time I watched television, I was seeing the guitar, saying, “Oh, it's cool, you know.” So it seemed like I was always interested. But really when I was fourteen years old, ja, fourteen years old, I got an electric guitar, a Fender Mustang guitar, and that was like OK now, that was the real guitar, like now we have a real guitar. And then many of my friends would free to play together. Right away we started to make bands, and play for parties and all that. That was like 1965.

村井:サーフミュージックはやりましたか?
Murai:Did you play surf music?

ビル:もちろん。最初の曲は、そう「パイプライン」でしたよ。先日、飛行機に乗って東京に来る途中、オールディーズを流していて、パイプラインがかかったんです。気分よかったですね。
B.F.: Ja, I think the very first song was like "Pipeline". When I was flying the other day on the air plane, coming to Tokyo, on the flight they had, on their music they had oldies ... and they had "Pipeline". Sounds great ! 

村井:1990年でしたか? ジョン・ゾーン率いるネイキッドシティの公演で来日した際、あなたがサーフミュージックの“ナポレオン・ソロ”を弾いたのを覚えています。あの時、あなたに「あなたはサーフミュージックの巨匠だ」と言ったら、フレッド・フリスが大笑いしていましたね。
Murai:I remember, in 1990, you came to Japan with John Zorn “Naked City", you played surf music, "Napoleon Solo". I heard that. At that time, I said to you, “You’re the master of surf music,” and upon hearing that, Fred Frith laughed.

ビル:そうでしたね。ジョン・ゾーンはそれまでも日本の多くのサーフバンドと共演していて、どれもみな信じがたいほどに素晴らしいバンドでした。でも実は私は知らないんですが、そうしたサーフバンドの人気って、もっとずっと古くから、つまりジョン・ゾーンたちよりもずっと前からのことなんでしょうか? また今でもサーフミュージックって、日本では人気があるんでしょうか?
B.F.:Oh, ye, ye. John Zorn played with many Japanese surf bands. Like incredible, like really good surf, but I don't know, is that something more older, is it from before, are they still now, is surf music popular?

村井:今はそれほどではないです。
Murai:Not so popular now.

ビル:CDショップに行った時、日本のサーフミュージックのコーナーありますか?って訊いたら、店員に、知らないって言われました。(笑)
B.F.:It's like, I went to a CD store, and asked them, "Do you have Japanese surf music?" They didn't know. (laugh)

村井:でも40年前にはサーフミュージックは本当に人気があったし、多くの日本人ギタリストはサーフミュージックを演奏していたものです。
Murai:But forty years ago surf music was so incredibly very popular in Japan. And many Japanese guitarists played surf music.

ビル:ベンチャーズとかよく日本に来てましたね。
B.F.:Ja, and “The Ventures” came here many times.

村井:ええ、ですからまるで日本のバンドみたいでしたよ。(笑)
Murai:Definitely. And so “The Ventures” seemed like a Japanese band. (laugh)

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