live review / ライブレビュー
2009.08.19
ROCK IN JAPAN FES. 2009

2009年7月31日 国営ひたち海浜公園

初めて見たチャットモンチーのベースの飛びっぷり!
ドロドロの低音をアンプの最深部から引き出す

前日から泊り込んだ。

僕がチケットをとり、宿を予約したときは、まだ最終日の8月2日に矢沢永吉が出演するという情報は流れていなかった。もしそれを知っていれば2泊3日の全日程を見ていたかもしれない(とはいっても、そうなるとトータルのチケット代だけで3万円を超えてしまうから、実行する可能性は低かったと思うが)。

朝5時に宿を出た時点で空は曇っていた。6時前に会場に着いた頃から雲行きが怪しくなりはじめ、6時半ごろには雨がふり、7時になるあたりで雨合羽はびちゃびちゃだ。しかし7時半ぐらいから雨が止み始め、8時には太陽が見えてきた。風は強いが、なかなかいい感じである。

8時半を過ぎると、もう「GRASS STAGE」の前方ブロックは人でいっぱい。あと2時間、ふんばりどころだ。そして10時半、遂にPerfumeが現れた。彼女たちの夏フェス出演は、今年はこれが唯一。レアだ。ボルテージが限りなく高まるではないか。風は相変わらず強いけれど、かしゆかが頭に乗っけている小さな帽子が落っこちる気配はない。「ワンルーム・ディスコ」、「Dream Fighter」、「NIGHT FLIGHT」、「マカロニ」、「ポリリズム」、「チョコレイト・ディスコ」、「Puppy love」に加え、ニュー・アルバム『⊿』で初出となった「I still love U」も披露された・・・・・が、これはテレビ番組「ミュージックステーション」で歌われたのと同様、ショート・ヴァージョン。

どこがどう短縮されているのか。一番わかりやすいのはアルバム・テイクではA(キミをどんなに~)、A’ (それがどんなに~)、B(願うなら~)、C(I still love U~)形式で構成されているワン・コーラスが、編集ヴァージョンになるとA’の端折られたABC形式になってしまうところだ。だが僕はA’部分こそこの曲のキモであり、そこがあるからこそ、B部分の哀愁、C部分のベタが引き立つのではと考えている。フルでやればいいのに、せっかくの名旋律がもったいない(「直角二等辺三角形TOUR」では全長版で披露されるが)。とはいえ約45分の持ち時間を、できるだけ多くの曲で楽しませたいというミュージシャン側の気持ちもわかろうというもので、そのへんは痛し痒しというべきか。だけどステージ上のパフォーマンス自体は最高だった。なぜなら、それでこそPerfumeだからだ。かしゆかの小さな帽子は最後まで落ちなかった。

次に登場したチャットモンチーも、前から見たかったバンドだ。以前「シャングリラ」、「風吹けば恋」を耳にして、なんだかすごく痛快な気分になったので、この日、初めてライヴに接することができて嬉しかった。第一印象は、CDより猛烈にパンクだ、ということ。とくにベース・ラインの図太さ、飛びっぷりには目と耳を見張らされた。ニコリともせず、モニターに足を乗っけて、指を弦にたたきつけながら、ドロドロの低音をアンプの最深部から引き出すのだ。人気コミック「デトロイト・メタル・シティ」に登場する女性パンク・バンド(あえて名を秘す)が3次元化したら、きっとこんな感じなんじゃないか、と僕はマジで思った。緩急の差が怖いほどに激しい「やさしさ」は、CDヴァージョンよりもさらに長く、いっそうダイナミクスに富み、崩壊寸前の溶鉱炉のようなヤバいエネルギーを青空の下に滴らせた。

ライヴのすごい連中は、それだけで信頼できる。Perfumeとチャットモンチーは素晴らしい夏の一日を与えてくれた。
(原田和典)

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