pick up disc / 注目作クロスレビュー
2009.10.27
Disc Jacket
原田和典の見解
The Core & More Vol.1: The Art of No Return

Moserobie Music Production MMPCD065

1. The Art of No Return part 1 2. The Art of No Return part 2 3. The Art of No Return part 3 4. The Art of No Return part 4

Magnus Broo(tp) Jorgen Mathisen(ts, cl) Jonas Kullhammar(ts) Vidar Johansen(bs, b-cl)Erlend Slettevold(p) Steinar Raknes(b) Espen Aalberg(ds)
recorded at Nasjonal Jazzscene, Oslo on January 13-14, 2009

確かに「ゴツい、熱い、長い」。だが、フレーズの前に
“例によって”とかいうフレーズをつけたくなってしまう

Moserobie Music Productionというレーベル名、ヨナス・クルハマーやマグヌス・ブローという名前。好きだなあ。これだけでぼくは、ゴツいジャズが飛び出してくることを予想できる。

しかも今回は組曲形式である。第4楽章まである。というか、それしかない。1楽章あたりの時間が猛烈に長いであろうことを、ぼくは予想できる。

さっそく盤を再生してみる。なるほど、ゴツい、熱い、長い。3サックスの絡みの高揚感には興奮させられたし、スタイナー・ラクネス(と読むのか?)のベースも、ビンビンと響いてくる。もうしわけないがぼくはしばらく、北欧のベーシストに対して偏ったイメージを持っていた。音程は正確で指もよく動くんだが音色はアンプ増幅でぶよぶよ・・・・というような。だけどこのスタイナーにしろ、インゲブリクト・ホーケル・フラテンにしろ、ペール・サヌッシにしろ、フリップ・アウグストソンにしても、みんなゴツくて分厚い。

初めて聴くのに、何度も聴いたような感じ。たしかにスリリングなんだけど、そのスリルが、飛び出したその時点で既に完了しているというか。偉そうなことを書いて恐縮だが、物事には“オヤ”と思う部分もほしいと、欲張りなぼくは思う。あれ、別のMoserobie作品でもこんなサウンドがあったな、と思える瞬間がかなりあって、「ゴツい、熱い、長い」というフレーズの前に“例によって”とか“いつも通りの”というフレーズをつけたくなってしまった。

そんなことを言ってしまえばプレスティッジやブルーノートの50年代ハード・バップだって全部おなじように聴こえるじゃないかという声が出てきそうだが、当時のミュージシャンには“フラ”があった。同工異曲といわれようがフィリー・ジョー・ジョーンズのドラムスが快調ならば、ジャッキー・マクリーンの音程のずれたサックスが切々と訴えてくれば全部OK、というところがある。ようするにあの時代のハード・バップは、かわいげがあるのだ。に比べて(別に比べる必要もないけど)、このアルバムは、ちょっとかわいげが足りないなあ。

好きなミュージシャン、好きなレーベルなだけに、こちらの期待値は大きい。次の作品ではもっとかわいいところを・・・という前に、とりあえず来日してくれ! 生で見たいんだ!!

The Core on Disk Union

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