60~70年代の「熱いジャズ」へのオマージュか?
まずは基本情報を整理しておこう。スウェーデンに「ザ・コア」というバンドがある。メンバーはJorgen Mathisen(sax), Erlend Slettevold(p), Steinar Raknes(b), Espen Aalberg(ds)の4人。あ、すみません、人名をカタカナ表記しないのは、読み方がよく分からないから、です。
そこに3人の管楽器奏者、すなわちJonas Kullhammar(ts), VIidar Johansen(bs,b-cl), Magnus Broo(tp)を加えたバンドがこの「ザ・コア&モア」で、この『ジ・アート・オブ・ノー・リターン』が最初のアルバムというわけだ。ちなみにJonas Kullhammarは、ザ・コアやこの作品を出しているMoserobie music production のオーナーでもある。
アルバム・タイトルにして全編を占める組曲のタイトルでもある"THE ART OF NO RETURN"は、 VIidar Johansenが作曲したもの。1953年生まれのJohansenは、北欧のフリー・ジャズ・シーンで長年活躍するベテランだ。
さて、具体的な音だが、これはもう「70年代前半のモード・ジャズ大作」を現代に蘇らせたもの、と言うのが、もっとも手っ取り早い紹介の仕方だろう。管楽器が4本あるので、テーマやソロのバックのアンサンブルはかなり手が込んでいて、ミニ・オーケストラ的なところもかなりある。ピアノはほとんどマッコイ・タイナー(たとえば『サハラ』の頃の)か! という高速モーダル・サウンドで突進し、ドラムスの勢いのよさやワイルドな爆発ぶりも、マッコイのバンドにいた当時のアル・ムザーンを思わせたりする。
そしてホーンズのソロは、盛り上がってくると勇猛果敢に「どフリー」の領域に入り込んでいく、という、ストラタ・イーストか君たちは、と言いたくなる猛者ぶり。チャーリー・ヘイデンのリベレーション・ミュージック・オーケストラを想起させるレクイエム的なアンサンブルも出てきたりして、やはり60~70年代の「この手のジャズ」に対するリスペクトというかオマージュというか、を強く感じるのだ。
全パートを通して聴く方が充実した体験を持てるとは思うんだけど、正直言って何度も何度も通して聴くのは、個人的にはややトゥーマッチ。かと言って1つのパートだけ聴くのもなんとなく間が抜けているし、大作というのはここが困ります。
ピットインあたりで生で観たらさぞかし盛り上がるだろうなあ、これ。来日してくださいね、来年あたり。
The Core on Disk Union



