disc review / 新譜レビュー
2010.06.04
Disc Jacket
植木等伝説

EMI Music Japan TOCT-26971

ディスク1: 1. スーダラ節 (MONO) 2. ドント節 (MONO) 3. ハイ それまでョ (MONO) 4. 無責任一代男 (MONO) 5. これが男の生きる道 (MONO) 6. ショボクレ人生 (MONO) 7. いろいろ節 (MONO) 8. どうしてこんなにもてるんだろう 9. めんどうみたョ (MONO) 10. 馬鹿は死んでも直らない (MONO) 11. ホラ吹き節 12. だまって俺について来い 13. 無責任数え唄 14. 遺憾に存じます 15. 何が何だかわからないのよ 16. シビレ節 17. それはないでショ 18. ヒグチ薬局の歌 (MONO) 19. いぢめっ子が泣いている (MONO) 20. ゆうやけこやけ (MONO)
ディスク2: 1. 花と小父さん 2. チョッと一言多すぎる 3. 泣くのがいやだから 4. みんな世のため 5. あきらめのブルース 6. ウイウイ小唄 7. 空を仰いで 8. パパと一緒に 9. 余裕がありゃこそ 10. 万葉集 11. たそがれ忠治 12. おとこ節 13. 白日夢 14. 悲しきぼやき 15. おまえにあげよう 16. こんな女に俺がした 17. これで日本も安心だ! 18. 毎度毎度のおさそいに 19. 浪曲子守唄 20. 麦と兵隊
ディスク3: 1. スーダラ大伝説 (2010年EDIT) 2. 新二十一世紀音頭 3. 地球温暖化進行曲 4. 少年の日の夢 5. 銀座イエスタディ 6. やせがまん節 7. だめでもともと 8. サーフィン伝説 9. 針切じいさんのロケン・ロール 10. FUNx4 11. ナイアガラ・ムーン 12. 旅愁 13. よろしく音頭 14. どこまでも空 15. 星に願いを
ディスク4: 1. スーダラ節|無責任一代男 2. [MC-1] 3. しじみメドレー 4. [MC-2] 5. 枯葉 6. オール・オブ・ミー 7. [MC-3] 8. 花と小父さん (with 川島上叢子) 9. 笑えピエロ 10. 少年の日の夢 11. [MC-4] 12. スーダラ伝説 13. 星に願いを (アンコール)

こまごまと収録されているレア・トラック群。
NYにさえ植木等の代わりなどいないことを痛感。

クレイジーキャッツ結成55周年を記念して植木等『植木等伝説』、谷啓『ガチョーン伝説』、ハナ肇とクレイジーキャッツ『クレイジー伝説』の3点が同時リリースされたので買った。クレイジーがいつ結成されたのかに関しては諸説あるのだが、最近は「渡辺プロダクションの創設時がグループの結成時」ということになっているようだ。

結成45周年、50周年のときにも作品リリースがあったと記憶するけれど、今回のラインナップは、いままでまとめて“クレイジーもの”としてくくっていた音源を、植木のリード・ヴォーカル、谷のリード・ヴォーカル、全員のリード・ヴォーカルものに分けたところに特色がある。つまり「スーダラ節」は植木伝説に入っているが、「ホンダラ行進曲」はクレイジー伝説に入っている。「あんた誰」はもちろん谷伝説で聴ける。

『植木等伝説』は、CD3枚+DVD1枚で5555円という大盤振る舞い。ぼくも相当、植木関連は集めてきたつもりだったのだが、いやー、今回もレア・トラックがこまごまと収録されている。東海林太郎の歌唱で知られる「麦と兵隊」をカヴァーしていたのも驚きだし、1961年録音と推定される「ヒグチ薬局の歌」の復刻にも快哉を叫びたい。また3枚目のCDは、90年代に入ってからの再評価のきっかけとなったファンハウス時代の音源で占められている。あれだけ上手いクルーナーだった植木にも寄る年波が・・・と思えるところもなくはないが、「地球温暖化進行曲」(行進曲ではない)あたり、まるで現在の地球の混沌を予見しているかのような展開に頭がくらくらする。

DVDは91年に行なわれたワンマン・コンサートの映像。かつてVHSで出ていたものをそのままDVD化している(約1時間)。どうせならコンサートの全貌をまとめてほしかった気もするが、ぼくのような“遅れてきた世代”にとっては実にありがたい映像だ。ぼくが上京した当時、植木等はまだ健在だった。ライヴも舞台もやっていた。テレビにも出ていた。が、「まあいずれ見れるだろう」と思っていたのがいけなかった。

“植木等、死す!”。そのニュースが流れたとき、ぼくは成田空港にいた。JFK空港に着いたとき、ぼくは機内にあるすべてのスポーツ新聞を乗務員の許可をもらって持ち帰り、ホテルでその記事をずっと見ていた。そしてこう思った。「ここニューヨークにさえも、植木等の代わりになれるひとなどいないのだ」、と。
(原田和典)

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