選考基準は現時点での「お買い得ガイド」
- 後藤雅洋:
- 最初に、今回都合で遅れてくる八田真行さんのご意見をみなさんにお伝えしておこうと思います。この前、八田さんに会ったときに、「あなたの挙げたリストのうち、絶対これは外せないというものがあったら先に言っておいてください」と尋ねたら、あれでよいということでした。
- ただ、彼の意見として、選出の指針が2つあると言うのね。一つは、お買い得ガイドの視点。要するに、今の時点で我々が安心してファンの皆さんにお薦めできるものという意味ですね。そういう視点でみた80年代のアルバム100枚という選出法が1つ。もう一つは、必ずしもお買い物ガイドじゃない、今ではちょっとダサイなっていうものをどうするのか。例えば、八田さんはハンコックの「ロック・イット・バンド」なんかを挙げていましたね。あれ、今聴いてみたらちょっと古いなぁという感じがすると思うんだけど、出た当時はショッキングだったわけじゃないですか。そういうものを入れるのか。
- もちろんそれは、どちらをとるかという話ではなくて、バランスの問題だと思うんですよね。両方の視点を考慮するということだと思うんだけど…。最初にその辺りの問題をはっきりさせておいたほうがいいのではないか、ということを八田さんは言っておりました。
- ただ、彼の意見として、選出の指針が2つあると言うのね。一つは、お買い得ガイドの視点。要するに、今の時点で我々が安心してファンの皆さんにお薦めできるものという意味ですね。そういう視点でみた80年代のアルバム100枚という選出法が1つ。もう一つは、必ずしもお買い物ガイドじゃない、今ではちょっとダサイなっていうものをどうするのか。例えば、八田さんはハンコックの「ロック・イット・バンド」なんかを挙げていましたね。あれ、今聴いてみたらちょっと古いなぁという感じがすると思うんだけど、出た当時はショッキングだったわけじゃないですか。そういうものを入れるのか。
- 須藤克治:
- つまり、選出の基準をはっきりして、ということですね。
- 後藤:
- そうですね、それが八田さんの意見でした。私もそれはもっともだと思うんです。ですから、仮に明確な方針をこの場で決められなかったとしても、その過程は公表しておいたほうがいいかな、という気はするんです。
- 益子博之:
- この選出会議の過程は記録としてcom-postにアップしますし、もちろん選出方針についても、その話の中に入っていればいいと思うんです。それで僕は、今の話でいうと何となく皆さんも暗黙の前提として前者の基準で選んでいるんじゃないかと思ったんですよ。
- 後藤:
- つまり、現時点でのお買い得ガイド、みたいな。
- 益子:
- まぁ、あとで総論の時にもう一回お話しますけど、このリストを見ると80年代当時の話題作が結構落ちているわけですよ。
- 後藤:
- 実は同じことを八田さんも言っていたんです。彼はその一例として「ロック・イット・バンド」のことを言ったんですね。誰もリストに挙げてなかったようだけど、当時すごく話題になったと。今の時点でのお買い物ガイドに徹するのも一つの考えだけど、あの時代はどうだったのかということを言っておくのも意味があるんじゃないかということでしょうね。彼がどちらの立場なのかは正確に覚えていないんだけど、そういうこと言うっていうこと自体、やっぱり後者の視点も考慮する必要があるんじゃないかってことなんでしょう。八田さんはその辺はみなさんのご意見で、っていう言い方をしていましたけど。
- 原田和典:
- 例えば僕が本を作るのでしたら、後者の意見はコラムとして扱いますね。スタンリー・ジョーダンとか、ボビー・マクファーリンの「ドント・ウォリー・ビー・ハッピー」とか、当時のヒットがすごいあるんですよ。FMでもガンガンかかっていたんですよね。でも、それは別枠でいいんじゃないでしょうか。スタンリー・ジョーダンのブルーノートのあの辺を今、わざわざ聴けとは僕は言えないですね、やっぱり。
- 益子:
- なんかそういう流行があったよね、ということはエピソードとして話しておいたほうがいいとは思います。
- 須藤:
- さすがにロック・イット・バンドを聴いたほうがいいよとは、絶対言えなくなっちゃっている。
- 村井康司:
- なんかの機会に聴いてみて、なるほどねぇ、こういうものが流行っていたのね、っていうことはあると思うけど。今回高得点のものを見ていると、やっぱり今の耳で聴いておもしろいものが入っているのね。みんなが80年代のアルバムを選びましょうといった時に、今聴いても絶対いいよね、っていうものを入れている感じがすごくしますよね。それを当時の話題性で、ということにしちゃうと、じゃあマリーンも入れようか、阿川泰子も入れようか、ジョージ・ウィンストン入れようか、ってことになっちゃうよね。それを今お薦めできるかと言うと、それは疑問ですね。
- 例えばもうちょっと時代が前になって60年代とかになると、逆に当時うたかたの如く消えちゃったけど、今聴くと新鮮ですよ、という作品が出てくるかもしれませんが、ちょっと80年代って古さが中途半端なんですよね。古い感じというのが、まだ単に古いとか、単につまんないとかになってくるんですね。だから、100枚に入れたくなかったら無理して入れることはないんじゃないかな。誰かが、やっぱりあれは今聴いてもいいから入れようよ、という話になったら入れてもいいんですが。
- 益子:
- 村井さんがおっしゃった通りで、僕たちが新たに80年代のみならず、今後は他の時代についても選出してみましょうというからには、我々なりに今聴いて聴くべきものは何なのか、というリストにしないといけないと思うんですよね。
- 後藤:
- 今の視点を重視するっていうこと?
- 益子:
- そうです。明らかにつまらないものをリスティングしたら、僕たちの選出基準はなんなのか、おまえらの耳は何なんだ、って話になっちゃうわけじゃないですか。で、この選出の過程をコンテンツにするわけですから、その中であの時は一応こういうものがあったけど、それって今聴くとこうだよね、という話が載っていればいいんですよ。
- 後藤:
- なるほど。
※ この原稿は2008年7月5日に都内某所で行われた座談会の模様を再構成したものです。








