20年前の現実を知らない人もいるし、忘れてしまったものもある
- 村井:
- そう思いますけどね。しかし、もっと保守的っていうか、アコースティック・ジャズしか聴かないような人が選んだら、 80年代でも我々が選んだようなものの半分ぐらいは選ばれてない可能性があるんじゃないかな。
- 後藤:
- それはあるだろうな。
- 村井:
- で、彼等にとっては、このセレクションだって流行もんじゃん、みたいになるかもしれないね。もっとトミ・フラ(トミー・フラナガン)入れろとか。
- 原田:
- あっ、ケニー・ドリューのブームってありましたね。
- 村井:
- そうそう、そっちのほうに振れる人もいるかもしれないから、まぁ、個性が出るっていう意味では、今の選び方はわりと自然に我々の個性がうまく出ているんじゃないか、って気がしていますけどね。極端に偏ってもいないし、全部ECMにもなっていないしさ(笑)。
- 須藤:
- スミマセン(笑)。
- 原田:
- でも、八田さんは自分は80年代知らないっておっしゃっていたんですよ。
- 後藤:
- 彼は当時まだ子供だから。
- 原田:
- 気持ちとしてはわかりますよ、憧れ。僕なんか70年代知らない子供なんでベルボトムとか、アフロヘアーがカッコイイな、って思うことあるんですよ。それと同じで、八田さんは80年代のどっかにすごいカッコイイな、っていうものを感じているんじゃないかな。
- 後藤:
- カッコいいっていうより、八田さんは「自分は知らないから」って言っていたよ。
- 須藤:
- 彼、80年代何もないってボヤいていた。
- 原田:
- えっ?
- 村井:
- 彼は80年代のことは客観的にしかわからないからね。気分がわからないし。
- 須藤:
- 音楽的には何もなかったんじゃないか、ってボソっと言っていましたよ。
- 後藤:
- そうそう、思い出した。そんなことないよ、って言ったんだけどね、そしたら、そうですか? なんて言っていた、ハハハ(笑)
- 村井:
- 若い人は違うなあ(笑)。
- 後藤:
- それでは、八田さんの意見についてはそんなところでいいですか。自然に選考すればいいと。わかりました。一応伝言ということです。
- 村井:
- 昨日たまたま、お茶の水のディスク・ユニオン2階の中古CDを漫然と見ていたのね。そうすると、あっこれも80年代だ、入れるの忘れた、みたいなのがありました。やっぱり忘れていますよ、どうしても。
- 後藤:
- でも忘れているっていうのは、結局、あんまりたいしたもんじゃないってことなんじゃないの?
- 村井:
- いやぁ、それも難しいとこでさ。
- 益子:
- さすがに20年前ですからね。
- 村井:
- 昨日思い出したのは、ジョー・ロヴァーノのラベル・ブルーから発売された『ジョー・ロヴァーノ・ウィンドアンサンブル』、これ当時すごくよく聴いていたの。でも、すっかり忘れちゃっていて。
- 後藤:
- そういうこと言い出したらきりがないよ。
- 村井:
- だから意外と、ラベル・ブルーとかを落としているんじゃないかって気がするのね。
- 須藤:
- ラベル・ブルーはね、何枚か挙げたけど、ミシェル・ポルタルとアンリ・テキシエかな。あと何枚か聴いたけど、うーん、と思って。
- 後藤:
- でもねえ、これだけのメンバーがそれなりに考えてリストを出した結果、頭に残ってないなら、だめなんじゃないの? 仮に出したとしても、もうすでに候補が180枚ぐらいあるわけでしょ。
- 益子:
- それは、話を続ける中で思い出したときにこういうのもあったよね、ということで追加してもいいと思うんですよ。
※ この原稿は2008年7月5日に都内某所で行われた座談会の模様を再構成したものです。




