FAMOUS JAZZ CD 21 PROJECT | 21世紀の定番ジャズCD

1980年代のジャズ 100CD 選考座談会 vol.16

ボブ・モーゼスの隠れた大作志向を評価したい

益子:
次はスティーヴ・カーン。僕は『カーサ・ロコ』を入れているんですけど、『カーサ・ロコ』のほうが、マノロ・バドレーナのあのヘンタイ感が強くて好きなんです。
村井:
『モダン・タイムス』って日本のピット・インのライヴなんですね。
益子:
若干くどい感があるんです。
須藤:
僕はどっちかというと、『モダン・タイムス』なんだなぁ。
村井:
『アイ・ウィットネス』、『カーサ・ロコ』、『モダン・タイムス』とあるのね。ここは、まぁ、多数決の論理ですね。
益子:
僕は言いたいことを言えたので、もういいです(笑)。
村井:
トミー・フラナガンの『セロニカ』2票になってよかったね。
須藤:
これは文句=モンクないです(笑)。
村井:
ファラオ・サンダースの『ライヴ』が2票になった。
後藤:
これって、すごくうるさいやつ(笑)。最初、塩辛い音でパッパッパっていってブヒョーっていくやつ。迫力あるよね。
村井:
原田さんはこれ入れてないけど、お好きなんですか?
原田:
ファラオ・サンダース『ライヴ』ですか。今日も持ってきましたけど、あまり聴かないんですよ、うるさいから。(一同爆笑)
須藤:
ちょっと意外ですね。原田さんですら、うるさいというのは。
後藤:
でも、気持ちいいよー、あのしょっぱなのヒョエーっていうの
原田:
CD追加曲が圧倒的にいいです。CDならば推薦します。
村井:
次はボブ・モーゼスですね。
益子:
渋いですねー。
須藤:
これ、かなりいいアルバムですよ。
村井:
レーベルはグラマヴィジョンですね。
須藤:
聴いたことがある人がいないんじゃないかな。
村井:
でも2票入っているんだよ。
須藤:
これ私のせいですね(笑)。
原田:
須藤さんに随分教えてもらったので、その影響が出ていますね。
後藤:
原田さんはリアル・タイムで聴いていたの?
原田:
ほとんどこの10年間に聴いたものです。
後藤:
あ、そうですか。
原田:
やっぱり皆さんと知り合わないと、出会わなかったようなものですよ。
須藤:
ボブ・モーゼス聴かないですよ、普通。
原田:
ECMだってホント、須藤さんに教えてもらって聴き始めて、こんな音があったんだ、って知りました。
原田:
「ヴィジット・ウィズ・ザ・グレイト・スピリッツ」4曲目が良かったですよ。
(このCDをかける)
村井:
あー、これかー。
後藤:
やっぱり全然知らないや。知らないアルバムもあるもんだなぁ。
村井:
ビル・フリゼールが入っているんだよね?
須藤:
そうです。
村井:
でも聴いてないなぁ。
原田:
ボブ・モーゼスの営みってすごいんですよね。超大作主義なんですよね。
後藤:
ボブ・モーゼスってECMにアルバムなかったですか?
須藤:
ないですね。
益子:
リーダー作はないですけど、スティーヴ・キューンがらみで何枚かあるかな?
後藤:
そうそう。スティーヴ・キューンのリーダーで、サイドで入っているのがあるのか。
益子:
メンバー誰ですか?
須藤:
すごいメンバーですよ。リーブマンとか。
原田:
この時期の日野皓正とかって、日本を背負って立っていましたね。
後藤:
ものすごくよかった。
須藤:
70年代終わりから80年代半ばぐらいまで。
原田:
世界に勝負していましたね。
後藤:
対等で渡り合えて、いい仕事していたと思うよ。
村井:
ボブ・モーゼスのリーダー作でさ、リーブマンと日野皓正の2管フロントで、なんていうんだっけ。「オータム・リーヴス」のコード進行で「Autumn Liebs」というリーブマンのオリジナルが入っているの。あれもカッコよかったなぁ。『Devotion』(79年)ですね。
須藤:
モーゼの十戒とかやっちゃうんですよ。
原田:
『ザ・ストーリー・オヴ・モーゼス』
須藤:
あれ、メセニーも入っていて、すごいメンバーなんですよね。
村井:
(音を聴いて)なるほど、これって80年代のある種典型的なサウンドかもしれないね。
須藤:
エリントン、ミンガス系の流れですよね。そこにワールド・サキソフォン・クァルテットがあるみたいな。
村井:
なるほどー。いいんじゃないの、これ入れていただいて。
益子:
はい、じゃ、そんな感じで。
村井:
ハル・ウィルナーが2枚あるんだよね。モンクのやつとニーノ・ロータ。
益子:
これはモンクのでいいんじゃないでしょうか?
後藤:
いいんじゃない。
須藤:
だけど、みんな、ニーノ・ロータ聴きました?
原田:
僕ね、聴いてないんですよ。
村井:
あれ、ウィントンが入っているんですよね。
須藤:
ほとんど、吹いていないですけどね。
原田:
サングラスかけたジャケットですよね。
村井:
あれ、僕は高田馬場の「ムトウ」で買ったんだよね(笑)。何で覚えているんだか。
須藤:
あれ、いいんですよ。ジャッキー・バイアードが。
村井:
バリー・ハリス『フォー・ザ・モーメント』、渋いところですね。
後藤:
いい演奏ですよ。強く推す気はないけど。
村井:
たまにはこういう正統的なのもいいんじゃないですか。

※ この原稿は2008年7月5日に都内某所で行われた座談会の模様を再構成したものです。