ボブ・モーゼスの隠れた大作志向を評価したい
- 益子:
- 次はスティーヴ・カーン。僕は『カーサ・ロコ』を入れているんですけど、『カーサ・ロコ』のほうが、マノロ・バドレーナのあのヘンタイ感が強くて好きなんです。
- 村井:
- 『モダン・タイムス』って日本のピット・インのライヴなんですね。
- 益子:
- 若干くどい感があるんです。
- 須藤:
- 僕はどっちかというと、『モダン・タイムス』なんだなぁ。
- 村井:
- 『アイ・ウィットネス』、『カーサ・ロコ』、『モダン・タイムス』とあるのね。ここは、まぁ、多数決の論理ですね。
- 益子:
- 僕は言いたいことを言えたので、もういいです(笑)。
- 村井:
- トミー・フラナガンの『セロニカ』2票になってよかったね。
- 須藤:
- これは文句=モンクないです(笑)。
- 村井:
- ファラオ・サンダースの『ライヴ』が2票になった。
- 後藤:
- これって、すごくうるさいやつ(笑)。最初、塩辛い音でパッパッパっていってブヒョーっていくやつ。迫力あるよね。
- 村井:
- 原田さんはこれ入れてないけど、お好きなんですか?
- 原田:
- ファラオ・サンダース『ライヴ』ですか。今日も持ってきましたけど、あまり聴かないんですよ、うるさいから。(一同爆笑)
- 須藤:
- ちょっと意外ですね。原田さんですら、うるさいというのは。
- 後藤:
- でも、気持ちいいよー、あのしょっぱなのヒョエーっていうの
- 原田:
- CD追加曲が圧倒的にいいです。CDならば推薦します。
- 村井:
- 次はボブ・モーゼスですね。
- 益子:
- 渋いですねー。
- 須藤:
- これ、かなりいいアルバムですよ。
- 村井:
- レーベルはグラマヴィジョンですね。
- 須藤:
- 聴いたことがある人がいないんじゃないかな。
- 村井:
- でも2票入っているんだよ。
- 須藤:
- これ私のせいですね(笑)。
- 原田:
- 須藤さんに随分教えてもらったので、その影響が出ていますね。
- 後藤:
- 原田さんはリアル・タイムで聴いていたの?
- 原田:
- ほとんどこの10年間に聴いたものです。
- 後藤:
- あ、そうですか。
- 原田:
- やっぱり皆さんと知り合わないと、出会わなかったようなものですよ。
- 須藤:
- ボブ・モーゼス聴かないですよ、普通。
- 原田:
- ECMだってホント、須藤さんに教えてもらって聴き始めて、こんな音があったんだ、って知りました。
- 原田:
- 「ヴィジット・ウィズ・ザ・グレイト・スピリッツ」4曲目が良かったですよ。
- (このCDをかける)
- 村井:
- あー、これかー。
- 後藤:
- やっぱり全然知らないや。知らないアルバムもあるもんだなぁ。
- 村井:
- ビル・フリゼールが入っているんだよね?
- 須藤:
- そうです。
- 村井:
- でも聴いてないなぁ。
- 原田:
- ボブ・モーゼスの営みってすごいんですよね。超大作主義なんですよね。
- 後藤:
- ボブ・モーゼスってECMにアルバムなかったですか?
- 須藤:
- ないですね。
- 益子:
- リーダー作はないですけど、スティーヴ・キューンがらみで何枚かあるかな?
- 後藤:
- そうそう。スティーヴ・キューンのリーダーで、サイドで入っているのがあるのか。
- 益子:
- メンバー誰ですか?
- 須藤:
- すごいメンバーですよ。リーブマンとか。
- 原田:
- この時期の日野皓正とかって、日本を背負って立っていましたね。
- 後藤:
- ものすごくよかった。
- 須藤:
- 70年代終わりから80年代半ばぐらいまで。
- 原田:
- 世界に勝負していましたね。
- 後藤:
- 対等で渡り合えて、いい仕事していたと思うよ。
- 村井:
- ボブ・モーゼスのリーダー作でさ、リーブマンと日野皓正の2管フロントで、なんていうんだっけ。「オータム・リーヴス」のコード進行で「Autumn Liebs」というリーブマンのオリジナルが入っているの。あれもカッコよかったなぁ。『Devotion』(79年)ですね。
- 須藤:
- モーゼの十戒とかやっちゃうんですよ。
- 原田:
- 『ザ・ストーリー・オヴ・モーゼス』
- 須藤:
- あれ、メセニーも入っていて、すごいメンバーなんですよね。
- 村井:
- (音を聴いて)なるほど、これって80年代のある種典型的なサウンドかもしれないね。
- 須藤:
- エリントン、ミンガス系の流れですよね。そこにワールド・サキソフォン・クァルテットがあるみたいな。
- 村井:
- なるほどー。いいんじゃないの、これ入れていただいて。
- 益子:
- はい、じゃ、そんな感じで。
- 村井:
- ハル・ウィルナーが2枚あるんだよね。モンクのやつとニーノ・ロータ。
- 益子:
- これはモンクのでいいんじゃないでしょうか?
- 後藤:
- いいんじゃない。
- 須藤:
- だけど、みんな、ニーノ・ロータ聴きました?
- 原田:
- 僕ね、聴いてないんですよ。
- 村井:
- あれ、ウィントンが入っているんですよね。
- 須藤:
- ほとんど、吹いていないですけどね。
- 原田:
- サングラスかけたジャケットですよね。
- 村井:
- あれ、僕は高田馬場の「ムトウ」で買ったんだよね(笑)。何で覚えているんだか。
- 須藤:
- あれ、いいんですよ。ジャッキー・バイアードが。
- 村井:
- バリー・ハリス『フォー・ザ・モーメント』、渋いところですね。
- 後藤:
- いい演奏ですよ。強く推す気はないけど。
- 村井:
- たまにはこういう正統的なのもいいんじゃないですか。
※ この原稿は2008年7月5日に都内某所で行われた座談会の模様を再構成したものです。


